総合評価方式と技術提案(コラムから抜粋)

 No.1 ■総価契約単価合意方式の4月導入について@(3/17)
●総価契約単価合意方式が国交省発注工事において4月より全面導入されるというニュースが業界紙で掲載されていました。この
方式は、以前からユニットプライスや高度技術提案型の総合評価方式など限られた発注方式で採用されていましたが、4月1日以降に公告される案件より全面導入する運びとなった模様である。

●総価契約単価合意方式と言っても入札から契約までの流れに変化はなく、契約後に工事数量総括表の細別ごとに単価を設定するという行為が付加されるものである。
 この単価を設定し、発注者及び受注者の双方が合意することにどのようなメリットがあるかというと、変更契約の際に契約額増減の説明性・透明性が向上すること、そしてより現場に則した単価の設定が可能であると言う事である。

まず前者について、従前であれば数量の増減に対して変更の入札をしようとした時に思った程増額にならない、思った以上に減額になっているなど見積額と変更予定価とに差を感じたことがあるという人も少なく無かったと思います。
 これは官積算の単価と受注者の見積に用いる単価に差があったからであるが、単価合意をしておけば各々数量増減と合意した単価を用いて簡単に額増減が算出でき、発注者と受注者双方で差が生じにくくなる。

●次に後者について、官積算は取り扱い数量の大小や現場の特殊性などの積算条件に基づいて算出するとは言うものの、限られた選択肢の組み合わせで求められるものであるので、実際の施工にかかる費用と差が生じないとは言い難い。
 しかし、単価合意方式は単価設定の主導権が受注者側にある。官積算をベースとして一定の範囲内であることなど条件は存在するが、条件を満たしていれば受注者の提示する額が合意単価として採用されるので、より実勢単価に近づけた単価設定が可能となる。
 これにより官積算主体の場合に反映されなかった、受注者の技術的特性を正当に評価できるようになったり、下請業者へのしわ寄せを回避できるといったメリットがあると言われ、4月からの導入への期待が高まっています。

No.2 ■総価契約単価合意方式の4月導入についてA(3/18)
前回、新聞報道にあるような総価契約単価合意方式の長所について書きましたが、実際に作業を行ってみるとなかなか思惑通りに進まないのが世の常です。
 今日は、私が以前ユニットプライスで試行された時に単価合意を行った経験・感想を踏まえて単価合意にかかる注意点を書いてみたいと思います。
単価の合意をすると言っても当初設計に存在する項目に対して行われるものであると言う事に注意が必要です。
実際の現場では当初設計通りで現場が終わる事はほとんどありません。設計時と着工時で現場に不整合があったり、現場条件の変更や発注者側からの指示により追加工種が出てきたり、材料の仕様が変わると言った事は日常的に起こり得ます。
変更が生じれば当然、当初設計に対して合意した単価を用いる事は出来ません。新たに単価を設定する必要が生じます。しかし、新規項目や変更項目が出てくる度にいちいち単価合意を行うというのは煩雑な作業になり手間もかかるので、追加される項目のレベル(工事区分、工種、種別、細別)にもよりますが官積算をベースとして単価を設定するという様に規定されています。
そうなると結局は従前通りの発注者側が主体の単価になってしまうため単価合意のメリットが失われる結果となってしまいます。 対処法としては、発注者側がきっちりとした当初設計を行い、変更が少なくなるようにすれば良いのではあるが、一般競争入札が標準化した現在、発注手続きの開始時期と入札・契約時期に数ヶ月も間があるため、公告時に詳細な調整ができないまま発注手続きに入ってしまう、その結果、変更設計で対処せざるを得ない。また低入札になった場合などは特に落札差金が発生し執行予算が余ってしまうため、余った分をどこかの工事で追加せざるを得ないと言ったお役所事情が存在するので、なかなか難しいのが実情です。単価合意に伴い色々作業は増えるのに、結果を見ると以前と同じになってしまうのでは発注者側としては骨折り損な感じがするのですが、受注者側の皆さんは今回の全面導入についてどう思われているのでしょうか?

No.3 ■総価契約単価合意方式の4月導入についてB(3/19)
●総価契約単価合意方式の概要はご理解頂けたと思うので、今回は一番気になるところであろう実際に単価合意はどういうやりとりを経て合意に至るのか?作業の流れについて書いていこうと思います。
私が試行で行った時点の話ですので、今回の全面導入にあたっては多少変更されている可能性もありますが、大筋は変わらないと思います。
●まず、発注者が受注者に対して様式のひな形を渡します。受注者にはその様式に従い合意単価のたたき台となる単価を入力し提出して貰います。今も工期半年以上かつ契約金額1億円以上に該当する工事については請負代金内訳書の提出を契約書で規定されていますが、内容的にはそれとほぼ同じものとなります。
入札の際、入札価格を決定するために見積もりを行うはずであり、各単価についても設定したものがあると思うので、基本的にはそれらを入力していって貰えば構いません。当然、そのトータルとして得られる工事価格は契約額とイコールになる必要があります。
●次に発注者は受注者より提示された単価と官積算によって得られた単価を各々比較していきます。受注者が提示した単価が官積算による単価の±○○%以内(パーセンテージについては別途規定がある)の範囲に収まっていれば妥当な単価であるとの判断を受けて、それがそのまま合意単価となります。
しかし規定の範囲内に収まっていないものについては、ヒアリングを行い単価の妥当性の検証を行います。想定している施工方法(使用機械や作業員数)と官積算上の施工方法を比較して、現場条件を鑑みた上で相応しい施工方法はどちらかを協議により決定します。
●受注者の想定している施工方法が妥当と判断されれば、受注者が提示した単価が合意単価となりますが、官積算上の施工方法が妥当と判断された場合は、官積算の一定割合範囲に収まるような単価を再提示してもらうことになります。(トータルの工事価格は変えられないので、必然的に他の単価も触る事になります。)
私の携わった案件では、協議の結果、ほぼ後者の対応になっていた。というのも、ヒアリングでは事前にどの項目が官積算より高い、安いという情報を受注者に与えないままヒアリングに臨むので、受注者にとっては急にその場で妥当性を証明するのはなかなか困難な事であるからである。
なので、ヒアリングに当たっては、事前準備としてすべての項目に対し単価表を作成し、どうしてそのような施工方法を採用したのかをまとめておくことは必要だと思います。

No.5 ■総合評価方式の改善について@  (3/24)  (ご質問のお応えとして)
質問内容
「コラム拝見しております。入札事務などにあまり関わった事がないので大変参考になりました。ところで、品確法で技術提案などで、入札条件がかわるとあったと思いますが、実際どの様な採用実績になっているのでしょうか。」
●4月より単価合意方式が導入されるという話をしましたが、それと並行して「総合評価落札方式の透明性の確保等に関する改善策について」というタイトルで平成22年度の予算執行から総合評価にかかる内容の一部を改正するというプレス発表がなされています。
総合評価方式は、私の記憶では平成17年頃に一般競争入札の標準化と相まって導入されたように記憶しています。この総合評価方式と一般競争入札は時を同じくして本格導入されたこともあり、皆さんの中にもセットもののように感じている方もいるかと思いますが、実はこの2つの成り立ちというか裏付けとなる法律は異なります。
 今日は、総合評価方式の改善の話題に踏み込む前に総合評価方式とは何か?どういう目的で導入されたものなのか?というおさらいから始めたいと思います。
●総合評価方式とは「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(品確法)に基づいて作られた制度です。品確法は、公共事業に絡んでコンクリートの加水や不良施工箇所の隠蔽などといった構造物の品質に関わる問題が出た事を受けて制定されました。
今までの入札は金額だけの競争であり、受注しようと思えば当然安い金額で入札する必要がありダンピングが起こりやすい。そうすると、少しでも利益をあげるために品質が蔑ろにされる結果となり、上記のような品質に関わる問題が生じていた。
そこで、金額以外に施工業者の持つ技術力も評価する事で、金額に見合うだけの技術力を持つ施工業者に対しては評価点を与え、他社より入札金額が高くても落札できるという制度を作った。金額以外に施工業者の持つ技術力やノウハウを総合的に評価するという方式であることから、総合評価方式と呼ばれているのである。
●施工業者の持つ技術力を評価するのは分かったが、どうしてそうすることが品質に関わる諸問題が解決につながるのかという疑問が湧いてくると思います。
その答えは、施工業者が入札時に提案する技術提案が品質の担保になり得るからです。技術力を評価すると言ってもなかなか定量的に計れるものではありません。そこで個別の工事に対する工程管理、品質管理、安全管理、施工管理について実際現場で作業を行う場合、どのようにして施工するのか?という提案をして貰います。
この提案を技術提案と言い、総合評価方式での評価の対象となります。これら技術提案は、成果物の品質を確保するための手法や無事故で工事を進めるための手法などの様々な提案があるのですが、評価の対象となる代わりに履行義務も伴います。もしも履行されない場合は工事の成績評点で減点されるというペナルティーがあります。
発注者は、より品質の向上などに繋がる技術提案を評価しますし、それを評価され受注した施工業者は提案に基づいて現場を施工する必要があるので、仕上がる成果品の品質の向上に繋がるという仕組みなのです。

No.6 ■総合評価方式の改善についてA  (3/25)
●前回は、総合評価方式の成り立ちと期待される効果について話しました。引き続き総合評価方式の改善の話題へと進みたいと思いますが、その前に前回ちらっと触れた一般競争入札が標準化した理由、混同されがちですが総合評価方式とは裏付けとなる法律が異なるという話題についても少し話しておこうと思います。
●総合評価方式とほぼ時を同じくして標準化されたので一般競争入札=総合評価方式という認識の方もいると思います。発注者の中にも入札関連や技術審査関連部署に縁の無い人間は両者の違いが明確に分かっていない者も少なからずいるのが事実です。
ですので、受注者側で入札事務や技術提案に関わりの無い方はもっと分かっていないであろう(勝手な想像ですが)と思うので一応お話しておきたいと思います。
●大変不名誉な事ですが土木業界における談合や汚職といったニュースをよく耳にした時があるかと思います。公共事業の入札に絡む談合や汚職ということで、世間の公共事業に対する疑念、特に入札制度に対する不信感が高まった時期がありました。
ここで「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(適正化法)という法律があるのですが、この法律の中に国などは入札契約の適正化を図るための措置を講じなくてはならないという条項があります。
一般競争入札が標準化されたのは、世間の入札制度に対する不信感を払拭するために適正化法に基づいて入札契約制度改革に乗り出した結果なのです。
●競争入札には、一般競争入札の他に指名競争入札という入札方式が存在します。一般競争入札は、公告などに定められた一定の条件を満たす業者はすべて入札に参加できるのに対して、指名競争入札は、種類(公募型、工事希望型など)により違いはあるものの条件を満たす業者の中から発注者が入札に参加できる業者を指名するという違いがあります。
なので、指名競争入札は発注者が作為的に業者の指名を行っているという疑惑を持たれ、談合や汚職につながっていると思われることが懸念されるため、発注者の作為が入らない一般競争入札を標準化するという入札契約制度改革が行われたのです。

No.7 ■総合評価方式の改善についてB  (3/26)
●前置きが少々長くなりましたが、そろそろ今回の本題に話を進めたいと思います。
総合評価方式の改善は、国民目線からの「入札契約の透明性・客観性の確保」、受注者目線からの「審査評価方法の透明性・客観性の確保」、最後に発注者及び受注者の「事務の簡素化」を目的として、3つの改善案が挙げられているのですが、1つずつ順を追って内容を説明していきたいと思います。
1.技術提案の評価結果について、点数の公表に加えて具体的な提案内容に対する評価を当該提案企業に通知する。
●前回、一般競争入札は発注者の作為が入らないと言いました。発注者が入札業者を指名するのではないので、受注を希望する業者は条件を満たせば全て入札に参加する事が可能です。なので、単純に金額の比較で落札業者を決定する方式であれば、自動的に入札金額が一番低い業者が工事を落札すると言う風に決まるので、始終一貫して発注者の作為が入り込む余地はないと言い切れます。しかし、総合評価方式においては入札金額に加えて技術提案についても評価する様になっています。そして、技術提案が優れていれば入札金額が高くても落札する事が可能であるともお話ししたとおり、入札結果は技術提案の評価に左右されます。
この技術提案を評価するのは誰か?当然、発注者です。となると排除すべき発注者の作為が入り込む余地があると言う風に解釈されてしまい、発注者が落札させたい業者に対して意図的に高得点をつけているのでは?という疑念を持たれてしまう事が危惧されます。
●また、今までは技術提案の得点だけを公表しており、提案した事柄のどれが評価されてどれが評価されなかったのか?と言うところまでは分かりませんでした。一生懸命考えて作った技術提案が評価されなかったと憤慨された経験がある方もいるかと思います。そうなると、国民目線からも受注者目線からも技術提案が正当に評価されているのか?という疑問が噴出してくる事が考えられます。
●そこで今回の改善案が提案されました。各企業の提案内容は各企業独自の技術や工夫に基づくものであるので全体に公開することは出来ませんが、当該提案企業に対し提案した内容に対する個別の評価を通知する事で、評価の妥当性を確認して貰う事が出来ます。通知の段階では、評価した若しくは評価しなかった理由まで記されないので、自信のあった提案が評価されていない!納得できない!という思いが出てくる事も考えられます。そこで次の改善策が用意されています。

No.8 ■総合評価方式の改善についてC  (3/29)
●前回に引き続いて、総合評価方式の改善策について話を進めて行きたいと思います。
 通知の内容に対して納得できない!という場合はどうなるのか?という話の続きですが、現行の評点だけを公表していた段階においても同じように結果について納得がいかないというような声があったようです。そこで今回の改善案として盛り込まれたのが
2.通知に対する提案企業からの疑問点等について問い合わせることのできる専用の窓口を各地方整備局に新たに設置する。 

 工事成績評点に関する問い合わせ窓口は今までもありましたが、同様に技術提案にかかる通知の内容についても専用の窓口を設ける事で問い合わせが出来るようになります。
 この専用窓口に評価内容などに関する問い合わせを行えば、窓口の担当者が当該技術提案を評価した発注担当部署に問い合わせ内容を照会して回答を得ます。その回答をもとに窓口の担当者から質問者に対して問い合わせ内容の説明を行うという仕組みです。 これらをもって、審査評価方法の透明性・客観性の確保し、ひいては入札契約の透明性・客観性を確保するという狙いがあります。
●最後に質問にありました、入札条件が変わるのでは?という内容についてですが、今回このような改善案が盛り込まれました。

 3.工事難易度の低い工事の入札参加資格要件には、過去の実績工事量(○○m3の盛土等)の設定は行わず、総合評価落札方式の技術評価の施工能力を評価して選別を行う。

 今までは入札資格要件として、一定施工規模以上の同種工事の経験が求められてきましたが、企業の技術力を問うという総合評価方式の目的から行くと、施工規模の大小で門前払いをするというのは趣旨に反するということで、同種工事の経験があれば施工規模は問わないと言う風になります。
 しかしながら、同種工事の経験があるとはいえ、小規模工事と大規模工事では勝手が違うので、施工可能かどうか判断するために
技術提案の施工能力を評価して入札資格の有無を判断すると言う風になりました。
●これに伴い評価項目の整理も行われ、今まで1テーマに対して紙のスペースが許すだけ提案出来ていたのが、提案数の上限を設ける。複数あった技術提案のテーマを当該工事に密接に関わる1つないし2つのテーマに絞るなど、技術提案を作る側も評価する側にも事務的な作業が軽減できるように改善される模様です。
 今回紹介したものは基本案であり、これに基づき各地方整備局で運用が決められるため実施内容の詳細については地整により異なりますので、詳しくは各地整のホームページ等で確認される事をおすすめします。

No.9 ■総合評価方式の改善についてD  (3/30)
●総合評価方式の改善策のあらましとしては前回までにお話ししたとおりですが、実際に皆さんが一番気になるところは、評価ってどのようにされているの?と言う事だと思うので、その辺についても少しだけ書きたいと思います。
●技術提案の評価は各工事の発注担当部署にて行われます。複数の業者から提案があっても1人の人間が評価をしますので、同じ内容の提案には同じ評価が与えられます。よって評価のばらつきは起こらないのですが、同じ提案でも工事が変われば評価者も変わりますので、片方では評価されて、もう片方では評価されないということが生じ得ます。
今後、個別の提案事項についての評価を通知するに伴い片方では評価されて、もう片方では評価されなかったと言う事もわかるようになります。もちろん工事毎の現場特性などがありますので、同じ提案であっても一概に同じ評価につながるとは言えないのですが、評価者によるばらつきは少なからずあると思います。
そこで、せめて地方整備局単位ではそのようなばらつきが起こらないようにと今回の改善にあわせて評価方法の標準的なガイドラインを策定し、研修や講習会を通じて認識の統一を図ろうとしています。
●次にどのような提案が評価されるのか?についてですが、一個人としての意見ですので参考程度にしてください。書いてあるとおりしたのに特定されなかったと言われても責任は負いかねますのであしからずご了承下さい。
よく発注仕様以上の品質のものを使用します。というような提案があります。例えば舗装で改質T型の設計に対して、改質U型を使います。などといった提案ですが、はっきり言ってそういうのは技術提案ではありません。
いい材料を使えばいいものが出来るのは当然であり、それが技術力に起因するものは言えません。同じ材料を使っても素人が作るのと料理人が作るので料理の見た目(出来形)、美味しさ(品質)が違うのと同じように、施工する者の技術力をアピールしなくては技術提案とは言えません。
●どういった事が技術力なのか?一言で言うのは難しいのですが、
今まで経験した現場での失敗を思い出して原因を探り、同じ失敗を繰り返さないためにはどのような工夫が必要か考えてみてください。勿論共通仕様書をなぞるだけではダメです。共通仕様書に記載されている事はやって当然のことだからです。
会社としての経験そして技術者自身の経験に裏打ちされたものが技術力だと思います。土木は経験工学ですから経験に勝る技術はないと思います。

No.10 ■総合評価方式の改善についてE  (3/31)(技術提案をどう書くか)
●今回のテーマについては長々と書いてしまいましたが、今日で平成21年度も終わりということなので、最後に一言書いて今回のテーマは終わりにしたいと思います。
●まず、昨日の話の続きですが、誰のための技術提案かも考えてください。例えば「施工性が向上するのでA工法を用いて施工します」とだけの提案だと、施工性が向上して喜ぶのは、施工する人=受注者ととらえられてしまいます。これでは、自分のために自分が工夫したというだけで評価はされにくくなります。
 しかし、「A工法を採用することで施工性が向上するので、現道の規制日数を短縮する事が出来る」と書けば、
現道利用者に交通規制による不便をできるだけかけないための技術提案と言えるようになり、評価につながる可能性が出てきます。
 どちらにしても、A工法を用いて施工すると言う事には変わりないのですが、書き方ひとつで、評価につながったり、つながらなかったりするので注意したいところです。
●あと、
現場で使えそうな新技術は出来るだけ技術提案にも盛り込むようにして下さい。通常、技術提案の内容については入札時に既に評価済みということで、工事成績評点をつける際の創意工夫などに重複させて挙げることは出来ないのですが、新技術に関しては、付随する活用調査などに協力すると言う事で工事成績評点を付ける段階においても加点の対象となる場合があります。 ですので、うまくいけば技術提案でも評価されて、工事成績評点を付ける段階でも加点の対象となる場合がありますが、もちろんどちらも評価されない場合はあります。
●最後に技術提案を作る上でのお願いなのですが、
技術提案はその工事の配置予定技術者が作るのが望ましいと考えています。会社によるとは思いますが技術系の営業担当の方が書いている所も少なくないと思います。また配置予定技術者がまだ別の工事の担当をしているのでそんなものを作っている暇は無いという場合もあるとは思いますが、なるべく配置予定技術者に作って頂きたいです。 というのは、実際に現場を担当する人間じゃないと、多少実行するのが難しくても評価を貰うために無理な技術提案をしてくる場合が少なくありません。そのせいで、現場で技術提案を履行する時になって頭を抱えている監理技術者や現場代理人を何人も見ました。
その点、配置予定技術者が作る場合は、自分の首を絞めるような提案はしないはずなので実現可能な範囲での提案がなされ、現場に入る段階になって頭を悩ませる必要はなくなりますし、発注者側としても実現できるか曖昧な形だけの技術提案より、きちんと出来てきちんと効果が得られる提案の方が評価しやすいです。
                                               (E)